サービス

2025-12-27

日本のカスタマーサービスは、よく「世界一」って言われる。

その中心にあるのが「おもてなし」。見返りを求めず、先回りして相手を気遣う考え方だ。

さらに丁寧さの階段を上ると、敬語がある。状況や相手との関係性に応じて、尊敬・丁寧・謙遜を使い分ける、日本独特の言語システム。

融通が利かなかったり、たまにイラッとすることはあっても、日本のサービスはずっと世界一だと思ってきた。

多少の不便さはあれど、基本的には「お客さんが最優先」。 ……でも正直、その完璧だった日本のカスタマーサービスの時代は、崩れ始めている気がする。

原因は何か。

スマホだ。

ここまで露骨に(しかも日本で)小売、飲食、サービス業のスタッフが、暇つぶしや気晴らしでスマホを触っているのを見たことはなかった。

その結果、待ち時間が長くなったり、注文が間違えられたり、そして日本社会の根底にある「和(わ)」――調和が乱れているように感じる。

驚くべきことなのか?

ここ10年、日本に通い続けてきたけど、日本を日本たらしめていた大事なものの一つが、ここ最近になって明らかに劣化しているのを感じる。

それと、もう一つ。

常に「今ここ」にいない人たちに囲まれている感覚が、なんだか不思議で、少し悲しくて、正直ちょっと疲れた。

人口1400万人の東京ど真ん中で、ただ電車に乗っているだけなのに、周りを見渡すと全員が小さな画面を見下ろしていて、何が起きているのか全く気づいていない。

新しい話じゃないのは分かってる。でも、以前の訪日よりも、なぜか強くそれを意識してしまった。

「今にいること」って、もしかしたら、私たちが少しずつ失いつつあるスキルなのかもしれない。